PRP療法は真皮繊維芽細胞に作用することで炎症を軽減させてもいるのかもしれない飛行機内でなぜ皮膚は乾燥するのか

ケース7の方の二年半後


先回の記事(→こちら)で、「PRP(多血小板血漿)の注射が、ひょっとしたら真皮の繊維芽細胞を刺激することによって、繊維芽細胞のもつステロイド(コルチゾール)産生能をも回復させて、真皮を場とするリンパ球性炎症を抑えるかもしれない」、という仮説を記しました。どなたか患者の協力を得て左右でコントロールをとって比較してみたいという計画も記しました。

それで、以前クロフィブラート軟膏のパイロットスタディにご協力していただいた患者のうち、ケース7の方(→こちらこちら)にお電話してみました。高校からステロイドを使い始めて29才まで約10年間使用し、中止後7年経てもなかなかリバウンドが治まらなかった方です。外用期間にくらべて離脱期間が長引いていますが、皮疹から見て依存・リバウンド例に間違いない、と診断した方です。

クロフィブラートのパイロットスタディ終了から2年くらい経っていますが、ケース7の方は経過が長引いていたから、まだリバウンドくすぶっているかもしれない、それならPRPの試験に向いているだろう、そう考えたのですが、けっこう良くなっていました。それで、写真を撮らせていただいて、ここに報告します。

依存例のリバウンドというのは、遷延していても、いつかは出口が見えてくるものだ、という情報提供・励ましになるでしょう。


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以前の記事の写真と比較してみてください(→こちらこちら)。ずいぶん落ち着きました。昨年は秋の季節的悪化もなんとか乗り切れたそうです。


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とりあえずせっかく来ていただいたので、炎症の残っている手首あたりに、左のみPRPを作製して注射しました。3ヶ月後に来ていただいて判定です。PRP施術側が、非施術側よりも炎症がおさまっていると私の仮説が正しいかもなんですけどね。
 
ご参考までに、このPRP療法、第三種再生医療に分類されるもので、今年11月からは、届出・認可された医療施設以外では施術できなくなります。 現在、私も準備中なのですが(→こちら)、自分自身の血液や細胞を加工してアトピー性皮膚炎やステロイド皮膚症を治療することが出来れば、自然治癒に準じる、患者にとって受け入れやすい治療法なのではないかと思います。

もっとも、ほとんどは結局、ケース7の方のように、時間が薬なんですけどね。少しでもつらい時期をショートカット・短縮する方法が見つかればと思って研究を続けます。


ケース7の方、最近赤ちゃんが生まれたそうです。長いリバウンド中も仕事を続けて、着々と人生を築いている点、本当に見上げたものです。「神は自ら助くる者を助く」と申しますが、医者も時間も病気を治すことは出来ても、患者の人生まで治すことは出来ません。Stay strong. 心を強く保って、未来を信じて一歩一歩前に進んでいきましょう。
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 クロフィブラート軟膏の処方についてはこちら(下の画像をクリック)。  

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 クロフィブラート軟膏には弱い抗炎症作用があり、ステロイドを使わずに皮膚炎を少しでも抑えたいという方に向いています。論文になっていますし作製も容易なので、出来ればかかりつけのお医者さんに処方をお願いしてみてください。



moto_tclinic at 17:22│Comments(0)TrackBack(0)