アメリカ皮膚科学会(AAD)のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2014)は自らを「標準治療」ではないと宣言した(その1)アメリカ皮膚科学会(AAD)のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2014)は自らを「標準治療」ではないと宣言した(その3)

アメリカ皮膚科学会(AAD)のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2014)は自らを「標準治療」ではないと宣言した(その2)




 前回の記事の補足になります。3月に開催されたAADのannual meetingのプログラムなどから、新ガイドラインにTopical steroid addiction (ステロイド外用剤依存)への警告が付されるかどうかの見込みについて、否定的かもしれない、と記しました(→こちら)。悲観的な見通しとは別に、良いニュースも二つあります。

 一つは、新しいAADの会長がDr.Mark Lebwohlであるという点です(→こちら)。

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Dr.Mark Lebwohl


 Dr.Lebwohl(レプオール,ドイツ系の名前です)がAADのトップだと何がどうなのかというと、この先生、Dr.Papaportが2003年に記した“Corticosteroid Addiction and Withdrawal in the Atopic: The Red Burning Skin Syndrome (Clinics in Dermatology 2003;21:201-214)”の共著者なのです(→こちらで全文読めます)。

 日本で例えると、阪南中央病院の佐藤先生が、日本皮膚科学会会長と共著で脱ステの論文を書いているようなことで、けっこう魂消ます。

 もうひとつは、会期中に催されたCSD(Coalition of Skin Diseases ;皮膚疾患連合)のannual meetingでITSANのKellyさんがプレゼンを行ったというニュースです(Youtubeに動画あります→こちら)。

 CSDというのは、皮膚疾患患者をサポートする団体の連合体で(→こちら)、その中にNational Eczema Associationがあり、ITSANの活動に注目して、TSA(Topical Steroid Addiction)についての調査を2013年12月に開始しました(→こちら)。その関係で、Kellyさんが招かれたのでしょう。 
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 日本の皮膚科学会は、2000年当時かかえていた川崎ステロイド訴訟の関係もあって(→こちらこちらこちら)、東大の川島先生らが中心となって、このステロイド依存問題の封じ込みを計りましたが、果たしてアメリカ皮膚科学会は、この問題にどう対処するのでしょうか?

 十数年遅れて、アメリカで昔の日本と同じ問題提起がなされている感じです。今後の展開に注目です。
 


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