「アトピー性皮膚炎 -脱ステロイド・脱ステの恐怖・依存という嘘-」というブログ記事中の誤りニューステーションの番組に出てきた皮疹の解説

cam_engl氏のブログの誤り・その2

 
 その1は→こちら
 
 「アトピー性皮膚炎 -脱ステロイド・脱ステの恐怖・依存という嘘-」というブログを書いているcam_englという方が、また私の名前を引用しておかしな事を書いているので釘を刺しておく(→こちら)。
 
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 誤解しないで欲しい。わたしは、本ブログで批判的に記している先生方と、cam_engl氏とを決して同列に扱ってはいない。
 それは、cam_engl氏が匿名だからだ。
 匿名のハンドルネームに人格も名誉もない。「誹謗中傷」など成立しない。
 また、私は本ブログで、いかなる特定の個人をも誹謗中傷しているつもりは無い。批判的な意見を記してはいるが、本ブログで言及している方々には、基本的に敬意を抱いている。声が届けば、考え方を変えていただけるかもしれないと思うから、あえて実名で記すのだ。
 
 cam_engl氏が同格に扱って欲しいのなら、実名あるいはどこの誰か特定できる形で意見を記すべきだ。私は昔から、ネットで自分の意見を記すときには、必ずそうしている。実名だからこそ常に責任を意識して文章を書く。
 
 cam_engl氏は、ある日気が変わったら、ブログを閉じるだろう。その後には、氏の誤った論文解釈に惑わされた不幸な患者たちだけが残される。cam_engl氏がどこの誰だったのかは永久に解らない。これを「無責任」と言う。
 もし、cam_engl氏が、実名を明かしてブログを続けるなら、そのとき初めて私は氏を他の先生方と同列に扱うだろう。
 
 以前d_d_e8eという方が「本当は怖い『脱ステロイド』:アトピー性皮膚炎の治療」というブログを書いていた。間違いが多かったので、私はこれを本ブログで指摘したところ、d_d_e8e氏はブログを閉じてしまった。こういう無責任なことが許されるのが、匿名ブログである。読者は肝に銘じてほしい。
  
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追記
 
 cam_engl氏が新たに以下のような記事をUPした。
 この人は解っていないのか、あるいは解らない振りをしているのか、どちらなのだろうか?・・
 脱ステロイドは治療法ではない。それは何度も繰り返し記している。
 EBMは治療法についての考え方であって、臨床現場からの副作用報告に当てはめるべきではない。
 
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 たとえば、SMONというキノホルムによる薬害がある。
 

 スモンは、整腸剤「キノホルム」を服用したことによる副作用だと考えられている。1970年8月に新潟大学の椿忠雄教授が疫学的調査を踏まえてキノホルム原因説を提唱し、厚生省はこれを受けてキノホルム剤の販売を直ちに停止した。その結果スモンの発生は激減し、キノホルム原因説を確証する有力な証拠となった。その後、動物実験によってキノホルムがスモンの症状を引き起こすことが確認され、キノホルム説は確立されたと言える。
http://www.mi-net.org/yakugai/dacases/smon/smonmain.html


 過去に「EBM」の考え方によって解明された薬剤の副作用はない。
 スモンを引用するのは大げさだと感じるかもしれないが、「アトピーステロイド情報センター」の松下一成代表は、田辺製薬(キノホルムの製造販売会社)の社員であったが、スモンの患者団体に協力して退社した方であった。松下氏は、ステロイド薬害の構造は、スモンのそれによく似ていると考えて活動を立ち上げた。違いは、ステロイド外用剤というのは、あまりに広く使用されており、有用なことも多いので、キノホルムとは異なり「販売停止」が出来ないことだ。何か他の検証方法が必要だが、現状どうすればよいのか、私にも解らない。 
 このブログは、一番上の表題の下に記したように、この問題の解決の糸口になるような「兆し」としての論文を紹介するのが、当初の目的であった。 
 「科学的根拠」=EBMではない。
 
 なおかつ、ステロイド外用剤に、長期安全性のエビデンスはない。このことは、私がこの問題に関わりはじめてすぐに、あらゆる製薬会社から治験論文を取り寄せて確認した。当時、ほんとうに愕然としたものだ。
 治験論文の「長期」は一般に百数十日程度を想定していた。それ以上の長期の安全性の「エビデンス」は、当時、まったく無かったのだ(→こちら)。
 
 また、日本皮膚科学会診療ガイドラインのエビデンスレベルが、そもそも低い(→こちら)。
 
 cam_engl氏はこう疑問を呈してもいる。
 
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 人は、非常に重要だと考える問題に関わってしまったとき、自分にベネフィットがあるかないかという基準では、必ずしも行動しない。cam_engl氏が理解できるかどうかは解らないが。
 
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追々記 
 新しい記事(→こちら)に対するコメント。
  
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「これ以上、脱ステの被害者を見たくない」目的で、ブログを書いているなら、それは自身にベネフィットがあるからやっている、ということだ。私の立場とは異なる。
 
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追々々記  

 cam_engl氏が「ステロイド依存の定義は? 」という記事を書いてJAADの論文の翻訳解説をしている(→こちら 同じ論文の私の解説は→こちら)。今回の論文解釈は以前の記事に比べるとフェアなものだ。「余程頭が悪いのではないか」と記した以前の私の評価は訂正しておく。 
 コメントの部分で「依存」という言葉に懐疑を投げかけている。氏はよほどこの「依存」という語が嫌なようだ。
 Addiction
と「依存」の語感の違いについて→こちらこちら
 Addictionを依存と訳した須貝先生の記事は→こちら
 Topical steroid addictionが世界で始めて用いられた論文は→こちら。ただしこれは、氏の記すところの「狭義のステロイド依存」であり、「アトピー性皮膚炎でこそステロイド依存は起きやすい」としたKligmanの論文(→こちら)が、アトピー性皮膚炎におけるこの問題を記述した最初の論文だと私は考える。
 皮膚症状からこの病態を記述したのは、RapaportRed burning skin syndromeだが(→こちら)、実は日本で1991年に榎本先生が、「ステロイド外用剤によるSteroid Withdrawal Syndrome 様症状」と記述している(→こちらこちら)。私の知る限り、榎本先生がcam_engl氏の言う「広義のステロイド依存」の最初の報告者である。「全身の酒さ様皮膚炎」と表現しても、同じことだと私は思う。
 Topical steroid addictionRed burning skin syndromeの違いは、前者はbehaviorであり、後者は皮疹表現であるということだ。そういう意味では、顔面のステロイド依存を狭義、全身のそれを広義と表現するのは、私には抵抗がある。Behaviorを顔面・全身といった範囲で分けることに違和感があるからだ。
 BehaviorとしてのTopical steroid addictionは、その症状を原因でもあるステロイド外用剤で抑えている状態の形容としてのみ適切といえる。したがって、脱ステロイド後の一連の経過をTopical steroid addictionと形容するのは、よく考えてみるとおかしい。しかし、Red burning skin syndromeは、全身的なイメージが強くて「狭義のステロイド依存」を含まないし、「ステロイド外用剤によるSteroid Withdrawal Syndrome 様症状」は長くてピンと来ない。  
 この病態をもっとも適切に形容する語(診断名)が、どれなのか、私もよくわからない。Kligmanが一番有名な皮膚科医なので、私はSteroid sddiction(ステロイド依存)と表現することが多い。しかし別に強くこだわっているわけではない。
cam_engl氏がどうしても嫌なら、いくつも提唱されている中の、違う表現を用いればいいと思う。
 なお、Behaviorであるという意味からは、Topical steroid addictionは”Tortured tube” sign(→こちら)と同義とも言える。 
 
 ちなみに薬物依存(drug dependence)とは、滋賀医大准教授 の小山先生のHP上での解説(→こちら) によれば、
 
 薬物依存とは生体と薬物の相互作用の結果生じる、特定の精神的、時にまた身体的状態を合わせていう。特定の状態とはある薬物の精神効果を体験するため、また、時には退薬による苦痛から逃れるために、その薬物を継続的あるいは周期的に摂取したいという強迫的欲求を常に伴う行動やその他の反応によって特徴づけられる状態をいう。


である。Burryの報告や”Tortured tube” signは、退薬による苦痛(離脱症候群)から逃れるために薬物の使用を続けるという点が当てはまる。 (注:以前ここに「ステロイド外用剤依存はWHOの薬物依存(drug dependence)の定義に当てはまる」と記したが、後述するようにWHOの定義そのものがICD-10の「精神および行動の障害」のカテゴリーの下にあるものなので、よく考えてみると定義を適用すること自体がおかしい。この点訂正しておく。)
 
 以上のように、脱ステロイド後の一連の経過を「ステロイド依存」と記述すべきかという問題とは別に、Topical steroid addiction(ステロイド外用剤依存)は存在する。cam_engl氏がいかにこの語を嫌おうとも世界中でこの存在を否定する人は居ないだろう。  
  
 
 したがってcam_engl氏は、 
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 のブログ表題の、「ステロイド外用は依存しない。嘘に振り回されないために。」という箇所を削除し、訂正解説文を記すべきだ。「ステロイド外用は依存しない」という文章自体が嘘なのだから。
 yahoo知恵袋などに記した一切の該当コメント部分についても同様である。
  
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追々々々記  
  
 cam_engl氏がブログ記事を更新した。書けば書くほど氏の矛盾あるいは勘違いが露呈されてくる。
 氏はこう記している(→こちら)。
 
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一方でこうも記している。
  
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 蛋白同化ホルモン(いわゆる男性ホルモン、筋肉増強剤)で、麻薬やニコチンのように「自分の意思ではコントロール出来ない欲求」が生じるだろうか?
 
 氏の意図的な扇動、あるいは勘違いは、国際疾病分類(ICD-10)でいうところの「依存症候群(Dependence syndrome)」とDrug Addictionとを完全に混同してしまっている点にある(→こちら)。
 
 ICD-10におけるそれは、そもそも「精神及び行動の障害」のカテゴリーの下にあるので、氏の言うような精神症状が伴うのは当然だ。そのような精神疾患の分類なのだから。
 この点を明確にするために、WHOは1965年以降、ICD-10で言うところの依存症候群の表現として、Drug addictionという語の使用を控え、Drug dependenceという語で統一した(→こちら)。Drug addictionはDrug dependenceよりも広い意味として用いられている。しかし、日本語に訳せば、どちらも「薬物依存」だ。
 
 したがって、繰り返し記すが、ステロイド外用剤依存(Topical steroid addiction)は存在する。上記に記したように、cam_engl氏のブログ記事表題は、氏の思い込みによる(あるいは意図的な)誤りであるから、削除あるいは訂正すべきである。
 

参考:語源から語感を探ると、dependde(下に)+pend(ぶら下がる)、addictad(~の方向に)+dict(指し示す)で、dependは下につく感じ、addictは離れられなくなる感じが強い。依存は「依って存する」だから、この3つは、結局全部違う語感と思われる。 
     Depend on me. 俺が守ってやる(俺の下にいろ)≠俺に依存しろ 
     I am addicted to you. 私はあなたに夢中(離れられない)≠私はあなたに依存している
 
cam_engl氏は要するに「依存」という日本語の語感が嫌いだから、Topical steroid addictionの存在を認めない
、と言っているのだ
。こんな馬鹿な主張はない。  
  
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 どうしても「依存」という日本語に抵抗があるなら、昔わたしがそうしようとしたように(→こちら)、「アディクション」という片仮名をそのまま用いればよい。「プロアクティブ療法」などはまさにそうである。(proactive=先を見越した) 

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  「先生、最近ステロイド塗っても前ほど効かないような気がするのですが・・にきびみたいな赤いぶつぶつも出来てきています。」 
 「ははーん、アディクション起こして来ちゃってるかもだね。ちょっと大変だけどお薬休んでほかの方法試してみましょうか?」

 さほど不便とは感じない。
 



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