金沢大・竹原教授による誤った情報発信医師に過失がなくてもステロイド皮膚症には陥るー川崎ステロイド訴訟(1)2/3

医師に過失がなくてもステロイド皮膚症には陥るー川崎ステロイド訴訟(1)1/3


 1992年の久米宏のニュースステーションのアトピー特集の全容について、先に記しました(→こちら)。
 以前から、金沢大学の竹原教授は、この番組をマスコミによるステロイドバッシングの原点と位置付け、勘違いなのか意図的なのか、歪めた情報発信を繰り返してきました(→こちら)。
 なぜ、この番組が、そこまで貶められなければならなかったのか?
 私は、この番組の出演者(患者)の一人が、川崎ステロイド訴訟の原告であったという点に注目します。 
 私は、この番組に、この方が出演していたという事実を知りませんでした。今回初めて番組を観て確認して「ああ、そういうことだったのか。」と、私なりに合点がいった、という気持ちです。
 
 もしも、竹原教授が「この特集には、川崎ステロイド訴訟の原告が映っている。怪しからん。」とアピールしたなら、世間は、「ステロイドで訴訟が起きているのか?どんな内容なのだろう?」と関心を抱いたでしょうが、「久米宏が、ステロイドは最後の最後まで使ってはならない薬だとコメントして、患者のステロイド忌避を助長した。怪しからん。」なら、世間は「そうか、そういうつまらない番組だったのか。」と納得して、観るまでもないと判断し、中には自分もまた観た様な気分になって、したり顔で、情報の二次発信をする人も出てきます。
 川崎ステロイド訴訟に直接言及してこれを否定するよりも、はるかに効率がいいです。
 
 川崎ステロイド訴訟は、平成13年(2001年)11月22日に横浜地方裁判所川崎支部民事部で判決が出ています。事件番号は、「平成4年(ワ)第448号損害賠償請求事件」です。判決文というのは、一般に公開されるものですので、関心のある方は、探して閲覧・確認してみてください。
 
主文は、
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
です。
原告側の全面敗訴です。
 
 どういう内容の訴訟であったのでしょうか?。判決全文を読むのが一番正確なのですが、長いので、概略をまずは、年表でまとめました。
  
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 被告は、川崎市内のBクリニック、C皮膚科、E皮膚科の三つの個人医院です。
 判決文の「事案の概要」は、
 
「本件は,アトピー性皮膚炎を患った原告が,被告らの営む各診療所でそれぞれ治療を受けたところ,長期間にわたり使用上の注意をしないままにステロイド外用剤ないしステロイド内服薬を処方されたことなどにより,アトピー性皮膚炎を悪化させて顔面醜状を生じさせ,かつ,ステロイド皮膚症を生じさせたなどとして,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を求めた事案である。」
 
です。 
 
 
 1981年頃は、一番上の写真のように、赤ら顔もなく、ステロイドの副作用は出ていませんでしたが、その後顔面へのステロイド使用量は、年間使用量概算で、60g→80g→120gと増えていき、しかし湿疹はおさまらず、D大学病院を受診したところ「ステロイド酒さ」の診断を受け、そこからの紹介でE皮膚科に通院したのですが、F医師は、ステロイドを減量・中止したほうが良いといった内容のことは言うのですが、実際にはなかなかうまくいかず、結局通院をやめて自宅で脱ステロイドし、約9ヵ月後の1991年5月には「副作用症状が少しおさまりかけた」状態になり、1992年7月のニュースステーション出演時には、写真で明らかなように、ほとんど皮疹は治まってしまっています。
 ステロイドをやめてこんなに良くなってしまうのだから、私が苦しんでいたのは、ステロイド外用剤の副作用であったのではないか?だとしたら、それを処方した医院に責任があるはずだ、そういう訴えです。 
  
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(ニュースステーション取材時(1992)のSさん)  
  
  どのような理由で、この訴訟が、原告側敗訴になったのでしょうか? 次回まとめます(つづく→こちら)。
 
補足1) 「川崎ステロイド裁判傍聴記」というサイトがあり、原告の女性の病歴などが、まとめられています。下記バナークリックして、ご参照ください。 
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2/3→こちら



moto_tclinic at 21:37│Comments(0)TrackBack(0)