クロフィブラート軟膏の将来的展望などクロフィブラート軟膏―ケース5,7,8のその後、および軟膏作成法について

アトピー性皮膚炎の方の美容外科手術

 今回の記事は、すこしいつもと違います。
 この方は52才の女性で、17才ころから35年間ステロイド外用治療を続けていました。アトピーの有無に関わらず、またステロイド外用するしないに関わらず、人間というのは年齢とともに老化が来ます。 
 わたしがやっている美容外科手術というのが、どの程度、アトピー性皮膚炎のかたの見た目の老化に対抗できるか?という話です。関心のある方は参考になさってください。
  
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 なぜ、この方の写真を、ここで紹介するかというと、この方、クロフィブラート軟膏の治験にエントリーされたからです(もっとも写真のネットでの使用許可は、4年前の手術時にすでにいただいていました)。ということは、この手術のあとで、ステロイド離脱に踏み切られたわけですが、まあ、その話はあとで書きます。
 上下のまぶたのたるみ取りですが、まず、上まぶたから。 
 手術直後です。単純な話で、余ってかぶさってきている皮膚を切り取って縫い合わせます。
  
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 切除ラインは、二重のラインとは一致しません(させません)。 
   この手術は、二重瞼を作る手術ではなくて、皮膚を切るだけですから、二重のラインには手を加えません。もともと二重でかぶさって一重のようにみえている場合には、その元々の二重ラインが出るし、元々一重のひとは一重のままです。
 
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  10日後、抜糸と同じ日に下まぶたの手術をしました。上まぶたは、まだ腫れが続いており、本来の二重が出ていません。この感じが、アトピーの方の皮膚独特なもので、皮膚の弾性が少ないです。アトピーの無い方ですと、10日後だと、すでに二重ラインが出ていていいです。   
 
 下まぶたの手術は、上まぶたよりも複雑です。眼輪筋に手をつけてこれを引き上げ(これをしないと、兎眼といって、赤目が見えてしまったり黒目の下の白目が出てしまう)、目袋部分の脂肪除去も行うからです。
  
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 約一か月後、上まぶたは落ち着いてきました。右(向かって左)の下まぶたを、一部修正したので、3針ほど新たに縫ったあとが見えます。
  
 結果にはご満足いただいたようで、ただ、そのあと「せっかく綺麗になったことだし、この状態を長く保ちたい」とステロイド外用を続けたそうです。「いつかは破綻がくるかもしれないと思ってはいた」そうで、残念ながら不安は的中し、2年前から脱ステロイド、リバウンド、ステロイド再開、再脱ステロイドを経て、現在5か月経ちました。それでネットで検索されたのでしょう、クロフィブラート軟膏の治験を私がやっていることを知って、申し込まれました。
 
 誓って言いますが、私は手術の際に、この方に「ステロイドを止めたほうがいいですよ」とは言っていません。もともと、私はそういうことは言わない方針だったし、まして、美容のお客さんにそんな出しゃばったこと言うわけないじゃないですか。ただ、もう10年以上前から、わたしのことは知っていたそうで、依存や脱ステロイドについても知識はあったようです。
 
 現在、まだリバウンドの最中で、また、術後4年という時間の経過もあり(それだけ年齢は重ねている)、目の下の小じわが目立ってきていますが、それでも4年前の術前よりは目立たないです。40年間外用したリバウンドにしては、5か月でかなり治まってきていますから、さほど強い依存ではなかったのかもしれません。まあ、一段落して皮膚炎(リバウンド)が治まったら、また、若返り手術してさしあげますから、楽しみにしていてください。    
   
 今回の記事は、書いていて、なんだか営業をしているようで気が引けますが、まあ、こういう世界、こういう道筋もある、ということですね。 


moto_tclinic at 11:43│Comments(0)TrackBack(0)